3.3 光合成の明反応と暗反応は、本質的に両者は独立である

3.3.1 明反応と暗反応のバランス

(1)光環境への制御系は幾つか存在するが、変動により両者のバランスは崩れる。

弱光環境では 明反応が炭素固定反応を律速する。光化学反応速度が遅いので、ATP・NADPHの供給が遅くなり、その結果、RuBP(リブロース-1,5-ビスリン酸)生産速度が落ちるので光合成速度を律速することになる。

(2)強光下では, 明反応のつくり出す化学エネルギーを炭素固定反応が消費し切れない。これが光エネルギーの過剰である。

 

3.3.2 光の過剰は単に光強度だけに依存するのではない。

(1)低温等で炭素固定反応の能力が低下すると、比較的弱光でも光は過剰になる。

(2)露地での乾燥ストレス下では気孔が閉鎖し二酸化炭素が取り込めないので、光の過剰問題は深刻になる。

(3)完全人工光型植物工場では湿度が50~60%でも、根からの水分吸収量が多く気孔は閉じることは少ない。青色光は気孔を開き気孔閉鎖による炭酸ガスの取り込み不足は生じ難い。湿度が80~90%で結露が生じる環境だと、二酸化炭素不足で暗反応(炭素固定反応)が十分にできなくなる。

(4)無風環境が生じ易く、炭酸ガス供給が遅れることで暗反応が遅れ、光エネルギー消費が少なくなる事で、光エネルギーの過剰が問題を生じさせる。

(5)湿度が高く空気移動(風)が少ないと、光過剰になる。

1)葉からの蒸散量を高め、養分供給を増やして光合成暗反応速度を高め、さらにカルシウム供給を増やしことでチップバーン障害を防ぐ。

2)風を送ることで、葉温を下げる(熱放射)。