事例45:エグ味が強く、野菜の本来の味が無く不味くなった。

1.何が起こったのか

 仮植と定植を同一養液で栽培すると、エグ味が強く、甘みも少なくなった。

また、養液中のカリウム濃度が低くなると、フリルレタスの特長であるパリパリとした食感が減り、さらに、水臭さを感じるようになった。(参照:第3章 16.野菜の美味しさ)

 

2.原因は何であったのか。

(1)仮植と定植を同一養液で栽培すると、

1)仮植養液(NO3:600ppm程度)で統一すると、贅沢吸収となり、葉中硝酸濃度が高く、えぐみが強く不味くなった。

  2)定植養液(NO3:300ppm以下)で統一すると、成長が遅れ、一定栽培期間で比較すると小ぶりになった。

(2)カリウム

1)カリウムの生理的役割

細胞内のカリウム濃度の低下は、 深刻な代謝異常をもたらす危険がある。 また、膨圧低下の原因ともなり萎れにつながる。特に細胞壁がまだ強固になっていない若い植物組織は重力に抗して形を維持することが難しくなる。

2)カリウムは炭水化物の蓄積量を高め、細胞膜を厚くし、細胞の膨圧を保ち、茎や葉を強健にするなどの働きがある。

3)カリウムは植物体の構成要素ではないが、様々な化学反応の補酵素になっており、

光合成もカリウムがないと進まない。

窒素からたんぱく質を作る時も、カリウムが無いと滞る。植物根から吸収された硝酸は、体内で還元されてタンパク質となるがカリウムが欠乏するとこの作用が進まず、体内に硝酸の異常集積が見られる。

カリウム不足の野菜には、発ガン物質の亜硝酸などが含まれ可能性があり、糖やビタミン含有量が少なく味覚的・栄養的に劣る可能性がある。

4)転流のため、澱粉を分解して糖にするが、この変換もカリウムが無いとうまく進まない。糖が作られなくなると、乾燥や寒さなどのストレスに耐えられなくなる。

5)細胞壁を構成するセルロースやヘミセルロース、壁と壁とを接着役目を果たすペクチンが、作られなくなる。その結果、植物が軟弱になる。

 

3.対策方法と目標到達点

《目標到達点:本来の味にする》

(1)養液中の硝酸塩とカリウム濃度を管理する。

(2)養液を1種類で栽培すると、風味は落ちる。養液は3種類で栽培して硝酸塩の贅沢吸収を減らし、カリウム濃度を管理する。