1.何が起きたのか
当初の設定金額より電気代より高かった。
2.原因は何であったのか。
電気料金は、「基本料金」+「電力量料金」+「賦課金」+「消費税」等から計算される。
(1)基本料金が高くなった。
日産10,000株を収穫する植物工場では業務用高圧小口(50kw~500kw)の契約となる。
実際に使った電力の最大値が契約電力になり、多く使えば使うほど契約電力が大きくなりそれに応じて基本料金が上がっていく。
電力の最大値は30分間の平均使用量をもとに、月ごとに最大値が決まる。契約電力は過去12か月の中から最大の月を選ぶことになっているので、それに応じて基本料金も高いままになる。例えば、わずか30分間だけ大量の電力を使ってしまうと、その後の1年間は高い基本料金が続くことになる。
(2)光の無駄使いが多い。通路側に漏れ出る光が多く、光合成に必要な光量以上を使っている。蛍光灯照明設置だけに比べ、白色枠設置で約10%照度が増え、さらに通路側に反射シートを取り付けると、約20%増える。
同一照度で栽培するのであれば、日長時間を20%短くすることが出来るので、電力量料金は20%の削減となる。
(3)人工光型植物工場の照明から発生する熱量は大きく、栽培室温度が上昇する。
エアコンは栽培室温度を下げるため使用される。
夏場、外気の影響を受ける場合、さらにエアコンを稼動させる必要がある。
3.対策方法と目標到達点(参照:第3章 4.5 光源設計の考え方)
《目標到達点:電気代の低減。》
(1)基本料金を安くするには、最大消費電力を抑え、契約電力を超えない。
人工光型植物工場では、栽培ベンチの<明期:暗期>をずらして、年間を通じて工場全体で同じ消費電力にする。深夜電力を使用する場合、必ずしも安価になるとは限らない。
(2)光の無駄使いを減らす。
反射シートを取り付けることで、照度がアップする。その結果、同じ光量で蛍光灯の点灯時間を減らすことが出来る。(参照 第3章 4.3 照度分布 <データ>)
(3)栽培室の壁面の断熱の能力を高める。
工場の外壁の断熱効果が弱いと、外気の温度に影響を受けてエアコンの使用電力に影響する。
(4)エアコンの室外機に日除けを取り付け、外枠に冷却水をかけてエアコンの冷房効果を高める。