事例40:バイオフィルムが発生し、生育が遅れた。
1.何が起こったのか
繭状の物質が根端付近に多発し、葉の成長が阻害された。
定期的に養液更新を行っているが、養液代削減のため、養液更新の期間を2倍以上に延ばしたところ、バイオフィルムが発生した。
生育も遅れ、通常、白色枠の上部まで葉は生長するが、根部にバイオフィルムが見られた野菜では、2/3程度の背丈であった。さらに、チップバーンも多発した。 写真2-18:根部に繭状のバイオフィルム発生 写真2-19 根部にバイオフィルム
発生部の生育葉
2.原因は何であったのか。
(1)根の表面や先端部から不溶性の粘液物質(ムシゲル)が分泌される。酸性多糖類、有機酸、アミノ酸、酵素などで構成されている。水中根の周辺を粘液物質が覆い、バイオフィルムを形成してくると、養分や酸素等の吸収を妨げ、葉の成長が遅れる。また、根の褐変が進み、壊死状態になる根もある。
(2)バイオフィルム形成の根毛
湛液水耕や噴霧水耕で、「白色の繭状の根毛」が発生した場合、成長に影響を与える。
「水中根の存在」「細菌の存在」「有機物の存在」の3条件が重なると、バイオフィルムを形成し「白色の繭状の根毛」となる。「白色の繭状の根毛」が形成されても1週間程度の期間であれば生育は良い。しかし、バイオフィルムが強固になると、養分供給が妨げられ、成長は遅れる。
3.対策方法と目標到達点
《目標到達点:バイオフィルム発生ゼロ。》
(1)養液更新が遅れた結果、ちぎれ落ちた根部が分解され有機物になった。
(2)養液更新を所定の期間で行う。