事例28:アミノ酸配合肥料の追肥で、養液表面に菌幕が生じた。

1.何が起こったのか

リーフレタス栽培時、養液にアミノ酸系の肥料を追肥したら、2日ほどで養液槽の表面に菌膜がつくられた。

 

2.原因は何であったのか。

(1)枯草菌 (Bacillus subtilis) による、腐敗と考えられる。

枯草菌は偏性好気性 (発育に酸素を必要とする) 菌種であり、 酸素のない嫌気環境では発育できない。そのため培地の液層表面で増殖し、個々の細菌細胞が引っ付きあって菌膜を形成する。

<リーフレタスに付着している細菌の菌種 一例> 

Bacillus marisflavi(グラム陽性細菌、植物表面から分離)

(2)アミノ酸配合肥料の追肥で、枯草菌(?)が増殖したメカニズムは不明。

無機肥料養液栽培では、未殺菌でも養液中の一般性菌数は10~10/gとなり、菌叢は安定している。微生物は細胞膜を透過してタンパク質自体を菌体内に取り込めないが、低分子であるアミノ酸を簡単に取り込める。養液中で増殖が抑えられていた微生物(枯草菌?)は増殖することができた。

 

3.対策方法と目標到達点

《目標到達点:発生ゼロ》

 発生例が1例であるので、分からぬところが多い。

養液にアミノ酸配合の肥料は使用しないことが、リスク管理といえる。