事例20:苗の育成にバラツキがある。

1.何が起こったのか

(1)育苗トレイ(水耕用ウレタン培地をセット)で、苗の生育にバラツキが生じた。

 

写真2-11 苗の生育のバラツキ

 

(2)育苗装置内に育苗トレイの設置位置で、送風側の生育が良い。

 

 

写真2-12 育苗装置

2.原因は何であったのか。

(1)養液供給管理

 1)ウレタン培地表面が乾燥していた。養液供給配管のコック部分に藻などが詰ることで、供給養液が少なくなり水位が下がった。

 2)水位管理が悪くなり、間断給液の効果が発揮されず、幼根の伸長が悪くなった。

(注)養液の間断給液法:養液供給と養液供給停止を繰り返す方法

  間断で養液を供給することで根は下方に伸長し、仮植作業でウレタンを切り離すときに、横に伸長する根が少なく、ダメージも少ない。根量が少ない時期であり、根を切ると苗の成長に影響する。しかし、ウレタン培地が均一に吸水していない場合や水位管理が悪い場合は、発芽しない場合があり、バラツキとなる。

(2)循環使用する養液に藻が発生しており、pHが上昇した。

(3)送風すると蒸散量が増え、養分や二酸化炭素の供給量が増える。光合成速度が上がり、成長が良くなる。

(4)反射カーテンを下げずに、生育したため、照度のバラツキが生じた。

(5)光当てが遅れた。

 

3.対策方法と目標到達点

《目標到達点:苗の生育にバラツキを少なくする。》

(1)養液の液面高を毎日確認する。

(2)藻の発生が多く、タンク内の養液の色が濃緑色になっている場合は、養液更新する。

(3)送風ファン側と反対側で成育に差がある場合、育苗トレイの位置を入れ替える。

(4)光当てを始めから行う。電気代は無駄になるが、管理の失敗を防げる。