事例19 : 発芽にバラつきがあり、発芽が低下した。

1.何が起こったのか

  通常入手している種子の発芽率は95%以上である。しかし、水耕用ウレタン培地で、発芽しない場所があり、また背丈にもバラツキを生じた。

栽培室内で発芽させているので、温度による影響は少ない。

 

2.原因は何であったのか。

(1)発芽条件が適切でなかった。

レタス類の発芽の3要素は温度・水分・酸素である。

生種使用では水没すると酸素欠乏になり易い。コート種の場合は水分不足に注意する。

  1)水耕用ウレタンの空気抜きが不十分で、部分的に吸水不足になっている。

  2)湛液水位が低い。ウレタン上部まで養水分が上がらず水分不足で発芽・発根しない。

3)湛液水位が高く水没状態であり、酸素供給が不足した。

(2)種子の保管が悪かった。

種子の水分含有量が8%に達すると、呼吸を開始する。(息を吹き返す。)水分が12%になると種子は発芽する。8~12%の間では種子は貯蔵している栄養分を、呼吸により消費し、発芽する力を失わせる。

(3)使用したウレタン培地が黄変していた。(参照:事例16)  

(4)育苗装置で発芽させる場合、風や水分蒸発によりウレタン表面が乾燥した。

(5)養液中にアオコが増殖しており、養液pHがアルカリ性になっていた。

 

3.対策方法と目標到達点

《目標到達点:黄変による発芽率低下を無くす。》

(1)種子保管は冷暗所で密封して保管する。播種後の残りの種子は、出来るだけ早く使用する。乾燥により種子の含水率を低下させ、呼吸代謝を抑制し貯蔵養分の消耗を防ぐことができる。

コート種子葉の場合は、コート剤への水分が遅れるので、生種使用より時間を長くする。

(2)温度・水分・酸素の発芽管理を行う。

(3)黄変したウレタン培地を使用しない。

(4)養液pHを7未満で管理する。