どの様な照明でも、メリットとデメリットは付きものであり、植物工場の現場での課題を知り、それを解決する方法を組み込む必要がある。
(参考)
レタス栽培の場合の光強度は150μmol m-2s-1以上(13,000ルクス)で設計する。
上限:光強度は光飽和点以上では無駄になる。レタスの光飽和点は280μmol m-2s-1
(25,000ルクス)と言われている。
下限:日長16時間で、かなり低い照度の5,000~8,000lxでも栽培する事が出来る。しかし、植物工場の採算を考えると、成長速度が重要であり、220μmol m-2s-1以上(20,000ルクス)が望ましい。300μmol m-2s-1以上(27,000ルクス)だと強光になる。
4.1 光源の種類
植物工場に使われる人工光源:高圧ナトリウムランプ、3波長型蛍光灯、外部電極型蛍
光管冷陰極蛍光ランプ、ハイブリッド電極蛍光管、発光ダイオード(LED)等である。
光源選択で考慮すべきは、求める作りたい品質で決めることである。
(1)成長速度と電気代削減を求めるならば、LEDが蛍光灯より優れている。初期投資金額を抑え、安定生産を求めるならば、蛍光灯がLEDより優れている。事業者が何を求めるのかで、光源は選択する必要があり、植物工場の設備費用はばくだいなので、設備費用を如何に抑えるかが事業としてのポイントになる
(2)光源による成長のバラツキ
1)LEDの方が蛍光灯より生育のバラツキが大きくなる可能性が高い。
苗の段階では早く大きくなるが、定植以降で葉の成長に伴い、バラツキは大きくなる。
2)LEDは配光性が狭く、光が一定方向に強くなるため、真下の照度(ルクス)は高くなる。乱反射し難くいので、葉と葉の重なりが生じると、青色・赤色光は、上面の葉がほとんど吸収してしまうので、下面に位置する葉には光が届かなくなり光合成が遅れる。
3)葉の相互被陰を減らし、全体への均一照射に工夫を要する。
例えば、LED光の栽培ベッドでは、乱反射させる反射板か反射シートを取り付ける。生育のバラツキを防ぎやすい。
4)蛍光灯には緑色光が含まれるため、緑色光は下面の葉にも届き、光合成が行われる。
サラダ菜のようなロゼット形状(根出葉が円盤状に並んだような植物体)であれば、各株の受光条件はほぼ同じとなりバラツキは少なくなるが、リーフレタスの様に葉が大きく伸長する種類は、葉の重なりが多くなり、バラツキを生じ易い。
LED光の場合も、緑色光が重要となる。
5)3波長型蛍光灯が優れている点は、圧倒的に安価なことである。