事例51:小規模植物工場と大規模工場では、栽培条件が異なった。

1.何が起こったのか

  人工光型植物工場を検討されている事業者が、リスク回避のため、小規模な植物工場を実験工場として検討してから、生産工場建設する場合が多い。

小規模植物工場で安定生産出来ても、大規模植物工場で再現出来るとは限らない。小規模植物工場の栽培環境・条件を大規模植物工場に持ち込んでも、安定生産することは難しい。

2.原因は何であったのか。

(1)工場規模の大小での差

1)培養液の供給バラツキ(噴霧水耕ではノズルの詰まり等)           

2)栽培室の温度・湿度の管理、風の流れなどが異なってくる。

  ①工場階高が高い場合と低い場合では空気循環が大きく異なってく る。栽培ベンチ間隔の違いでも差が生じる。

  ②温度・湿度の均一化にはエアコン能力や設定、サーキュレーターの能力などが影響し、栽培数量が違えば、それに合わせる必要がある。

  ③栽培室の階高が高いと、上部・中部・下部位とで温度が違ってくる。風の流れも違い大規模工場では均一化は難しい。風が有る栽培ベッドの栽培野菜でチップバーン発生が少ない等が経験されている。

(2)作りたい野菜により設備設計は異なる。実験工場は何が作れるのか、品質確認などを目指しており、生産設備とは異なる。栽培品種の特性や栽培数量、生育状況による影響を考慮し、温度・湿度管理に適したエアコンの種類、照明の設置間隔(本数)などを決める必要がある。

3.対策方法と目標到達点

《目標到達点:小規模工場の栽培条件が生かせるように、事前に問題点を洗い出す。》

 実験工場で得られた栽培条件を再現できるように、設備設計を行う。