事例41:定植期後半を低栄養状態で栽培すると、抽苔し花芽形成になった。

1.  何が起こったのか

  野菜の高付加価値化のため、定植期後半に低栄養で栽培する方法が有効である。

低硝酸塩野菜の栽培では、定植期間は低硝酸塩化するため硝酸塩を抜いた養液で栽培すると、RI3程度と高く、低硝酸塩(NO3-:2000ppm程度)になった。

低カリウム野菜も、定植後半、カリウムを抜いた養液で栽培すると低カリウム野菜になる。

しかし、養液中に硝酸塩が無いと、5~6日で花芽形成に入った。

 

2.原因は何であったのか。

(1)低硝酸塩野菜を栽培する場合、収穫前の養液から硝酸塩を抜くと、植物体内に蓄積されている栄養分を使って成長を続ける。硝酸塩消費するので、野菜は低硝酸化する。

  しかし、栄養環境が悪いので、子孫を残すために花芽形成期に入る。

下葉部は黄化し始め、風味は不味くなる。

(2)レタスの花芽形成に影響する栽培条件は、高温条件や長日条件ある。

1)長日条件は昼の長さが長くなり、連続した夜間の時間が短くなると花芽形成になる。

2)高温によって花芽分化が誘起され、レタスはある一定の大きさに育つと高温に感応するようになる。最高気温が25℃を超える様な栽培時期には、花芽を形成し(抽苔)、より品質低下する可能性がある。

 

3.対策方法と目標到達点

《目標到達点:花芽形成に入らない。》

(1)低硝酸塩化のために、低栄養で栽培する期間は3日以下にする。

  経験的に、硝酸塩を含まない養液で3日間栽培しても、成長を続け、生育重量は15%増えた。また、品位の低下は見られなかった。

  甘くて(RIは3前後)、エグ味の少ない野菜となった

(2)栽培室温度および養液温度を25℃以下で制御する。