4.細菌と品質維持 事例23:チップバーン部位にカビが発生した。

1.何が起こったのか

 栽培室の湿度管理が不十分で高湿度になっている場合、チップバーン部分の壊死した部分にカビが発生した。特に、栽培室が結露するような状態(湿度80%以上)で維持されると、多発する。

 

 

 

  写真:2-14 チップバーンに発生したカビ

2.原因は何であったのか。

(1)チップバーン発生部分は壊死しており、植物が持つ病害防御機構・免疫システムは働かない。例えば、お餅にカビが生えるのと同じである。

(2)高湿度で飽差が低い場合、葉からの蒸散量が少なくなり、蒸散流に乗り運ばれるカルシウム量も少なくなる。その結果、チップバーンが発生する。

(3)栽培室が結露すると、微生物管理は出来ない。カビ(真菌類)の生育制御に、環境中の湿度の影響が大きいことが経験的に知られている。湿度が70~100%ではカビの繁殖力は早く、70%以下では繁殖は抑えられる。

 

3.対策方法と目標到達点

《目標到達点:カビ発生をゼロにする。》

 チップバーン発生をゼロにはできないが、カビ発生は栽培室湿度が70%で抑えられる。

(1)チップバーンは極力発生させない。

(2)栽培室の湿度を50~70%で管理する。

(3)作物の株間の通風を図る。サーキュレーターで風を送る。  

(4)微酸性電解水で「殺菌する」を行う。

仮植・定植時に微酸性電解水を栽培パネルに掛け流し使用する事で、作物や栽培パネルが低細菌状態となる。同時に、ウイルスも活性を失う(死滅する)。