3.種子

3.種子 3.1 種子の選択 (1)チップバーン発生の少ない品種を選択することが重要であり、どこの種子会社のどの銘柄の種子を使うかが、ノウハウとなる。同じサラダ菜であっても品種が異なれば葉色、生育スピード、チップバーン発症に大きな差を生じる。 (2)低硝酸塩化を求めても、硝酸含有量を少なくすることが難しい品種もある。      例えば、ミズナは硝酸塩の吸収能力が高く贅沢吸収する代表的な品種であり、低硝酸塩が難しい。リーフレタス類でも吸収能力の高い品種がある。 (3)レタス類にはF1種子はほとんど無く、遺伝子の差が発現する。1株だけ、他の株と異なる状態になる事があるが、遺伝子のバラツキと考えられる。 (説明)F1品種とは、特定の性質をもつことを目的に形質のそろいを極端に高めた固定種を交配させ作った品種である。そのタネ(雑種第一代=F1)に限り、そろいが良く(成長が早い、均一性)収量や耐病性などが高まる、一斉に収穫できる等の特長がある。 3.2 種子の保管について 野菜種子の寿命に影響する環境要因は貯蔵中の湿度と温度である。種子の保管場所は冷暗所で乾燥状態が望ましい。また、播種作業に必要な量を栽培室に持ち込むこみ、残った種子は出来るだけ早く使用する。 (1)種子の水分含有量が8%に達すると、呼吸を開始する。(息を吹き返す。)水分が12%になると種子は発芽する。8~12%の間では種子は貯蔵している栄養分を、呼吸により消費し、発芽する力を失わせる。乾燥により種子の含水率を低下させ、呼吸代謝を抑制し貯蔵養分の消耗を防ぐことができる。 (2)レタスの発芽は最低温度が10℃、最適温度は15~20℃、最高温度は30℃である。 3.3 発芽について (1)レタス類の発芽の3要素は温度、水分、酸素である。水没させると、発芽しない。 (2)発芽に光が必要なものを「光発芽性種子(好光性種子)」という。この仲間にはレタスなどのキク科がある。しかし、レタス類が光発芽性を示すのは25℃近辺の場合のみであり、必要とする光照射時間は極めて短く、レタスは1~2分である。30℃以上では二次休眠する。20℃以下では、暗黒下でも発芽する。レタスの発芽に光は実質には必要無い。 (3)1~2日間催芽棚で発芽させた後に光当てを行う。光当ては胚軸の伸長を抑制する為で、いわゆる「もやし」状態を防ぐ。作業管理上、最適時間で光当てを行う事が難しい場合が多い。その場合は、透明アクリル板やラップ等で蓋をして乾燥を防ぎながら、最初から光当てを行う。管理する手間が省ける。コート種子を使用する場合は、コート材への吸水が十分でない事があるため発芽期間を1日程度延長すると良い。 (4)養液は育苗用の養液を使う。 1)発芽において栄養分の必要はなく、種子の持っている栄養分で十分に発芽する。    しかし、レタス類の種子は小さく貯蔵されている養分は少なく、発芽後の成育を良くするためには栄養分を補う必要がある。 2)ウレタンに清水だけで発芽させた後に、吸収されている水分を全て養液に入れ替える事は難しい。ウレタン中の清水を全て抜くことは出来ないので、養液を追加しても所定の濃度に、直ぐにはならない。その為、発芽段階から養液を使用する。 (5)水道水には殺菌剤として次亜塩素酸ナトリウムが使用されている。アルカリ性のときもあるので、培養液はpH7以下に調整する。 藻が発生してくるとpHは上昇するので、毎日測定する。 (6)次亜塩素酸ナトリウムは水質により使用量は異なり、地域によって差がある。     塩素酸の存在、培養液由来のアンモニアの存在、さらに溶液がアルカリ性という3条件が重なると、クロラミンが生成される。クロラミンは根にダメージを与えて、根の生長を阻害し、最悪の場合壊死を生じる。