光強度と必須元素 

1.2 光強度と必須元素 
図2-1 光強度と必須元素管理
(説明)図では、強光環境はカリウム、弱光環境はリンの充足率が制限要因を示している。
(1)光飽和点以上の光強度での管理
 余剰光エネルギーが活性酸素をつくり、植物細胞に障害を与えることになる。その結果チップバーンなどの生理障害を生じてしまう。
1)対策1:二酸化炭素の供給を増やす。さらに、それに応じたリンと窒素を増やす必要がある。飽差を高め、風を送ることで、二酸化炭素と酸素の供給を府や明日。
2)対策2:養液中の必須元素濃度を高める。
3)対策3:葉の蒸散量を増やす。飽差を高め、風を送る。
 4)対策4:日長時間を短くして、細胞膨圧が高まらないようにする。
5)対策5:葉温を下げる。エアコンの設定を下げ、風を送る。
(2)光飽和点以下の場合は、日長時間を延ばす。光合成の総光量を増やすことで、成長が良くなる。
1.3 光合成と温度
 光合成の基材(光、炭酸ガス、養水分等)が十分に存在している場合と、基材のどれかが過不足の場合とでは、制御方法は異なる。
図2-2 光合成の光強度と温度
(1)弱光下では、光合成速度は温度とは無関係で光の強さが制限要因になっている。
(2)十分な光量があると、温度によって光合成速度に差が生じる。温度が制限要因となる。
(3)強光(光飽和点以上)だと、二酸化炭素の吸収量が制限要因となる。
(4)完全人工光型植物工場の多くは、二酸化炭素濃度を約1,000ppm管理している。
この条件下では栽培室温度は高い方が野菜の成長は早まる。しかし、定植栽培の後半の成長期で、成長が早すぎる場合は、チップバーンが多発するマイナスリスクがある。
(5)光合成には2つの反応がある。温度には無関係で光の強さに比例する反応(光化学反応)と,光の強さには無関係で温度に比例する反応(酵素反応)とがある。
酵素反応は温度の影響を受け、至適温度(酵素反応にとって最も最適な温度)は、温帯植物の至適温度は35℃と言われている。通常化学反応は温度が高くなるほど活性化し、至適温度を越えてくると熱変性を起こし活性が失われていく。常温付近では、だいたい10℃あがるごとに、反応速度が2倍から3倍程度になる。光合成の中心となる酵素のルビスコも、温度が上がれば反応速度が上がる、すなわち光合成速度が速くなる。
(6)ルビスコ活性化率は低温側ではあまり変化しないが、高温側で大きく低下する。30℃位までは高い活性率を保っている。
ルビスコ活性化率の温度応答は栽培温度によって大きく異なる。低温環境に順化した植物は、高温環境で順化した植物よりも、高温におけるルビスコ活性化率の減少が大きい。
(7)蛍光管に接触すると葉焼けを生じるのは、ルビスコ活性が大幅に低下した結果、光合成が進まず、活性酸素を作り出してしまう事が要因である。